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【国際情勢分析】 野生のゴリラ、10~15年で絶滅? コンゴ(旧ザイール)

2010/03/29 07:00

 

Oxford Analytica 国際情勢分析」担当の Tom です。

 

国連環境計画(UNEP)と国際刑事警察機構インターポールICPO)が3月24日付けで発表した報告書「The Last Stand of the Gorilla: Environmental Crime and Conflict in the Congo Basin(ゴリラ最後の根拠地: コンゴ盆地における環境犯罪と紛争)」によると、アフリカ中部コンゴ民主共和国(旧ザイール、DRC)周辺のゴリラが、10~15年後には絶滅する恐れがあるとのことです。

 

 アフリカ中部には、コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo)とコンゴ共和国(Republic of Congo)があり、非常に紛らわしいのですが、新聞では前者を「コンゴ(旧ザイール)」、後者を「コンゴ共和国」(そのまんま )と表記します。

 

米タイム誌の表現が、日本語にない発想で面白かったので、英文のまま引用してみます

 

Perhaps the worst misfortune to befall the world's gorillas is that they live in some of the most resource-rich and lawless parts of the planet. Their forest homes in Africa are rich in timber, gold, diamonds and coltan, the mineral used in electronics like cell phones, and the scramble to get at those minerals has been joined by ragtag militias, national armies, multinationals and governments alike. That means it is an unusually bad time to be a gorilla.

 

(訳例) おそらく世界のゴリラに降りかかる最大の不幸は、彼らが地球上で最も資源が豊富で、最も無法な地域に暮らしていることだ。ゴリラの故郷であるアフリカの森林は、木材、金、ダイヤモンド、コルタン(携帯電話など、電子機器に使われる希少金属タンタルが採れる鉱石)が豊富だ。これらの鉱物をめぐる争奪戦には、寄せ集めの武装勢力、国軍、多国籍企業、複数の政府などが加わっている。つまり、ゴリラとして存在するには( ゴリラにとって)、極めて不都合な時代なのだ。

 

 

 

 コンゴ盆地からの木材の輸出先。同地域の木材と鉱物資源の約40%は中国に向かうという (UNEP/ICPO 提供)

 

ゴリラが絶滅の危機に瀕している原因は複合的で、単純ではないのですが、その一因に武装勢力の存在があります。コンゴ民主共和国の東部は、隣国ルワンダの反政府武装組織「ルワンダ解放民主軍(FDLR)」の拠点となっており、FDLR が活動資金を稼ぐために不法な乱開発や密猟を行っています。森林伐採等でゴリラの生息地が失われるだけでなく、「ブッシュミート(森林の肉)」として食用にするためにゴリラが殺されています。FDLR が開発した「資源」を世界の多国籍企業がその出所を問わず買い入れ、世界中で販売し、利益を得ているそうです。

 

報告書が、UNEP と ICPO の共同リポートの形を取っているのも、ゴリラが絶滅の危機にある地域が無法地帯であり、密猟との戦いがゴリラの保護に不可欠だからです。

 

レオナルド・ディカプリオ主演の映画「Blood Diamond(邦題: ブラッド・ダイヤモンド)」を思い出しました。こちらは、アフリカ西部シエラレオネの内戦で、武装勢力がダイヤモンドを採掘し、武器調達に利用する「紛争ダイヤモンド」の話でした。

 

アフリカでは、資源が豊かな国ほど、政治的、軍事的、経済的、社会的に不安定になるという「資源の呪い(resource curse) 」があるといわれます。しかし、これは「呪い」というより、人為的なものでしょう。人間同士の争いに、野生動物も否応(いやおう)なく巻き込まれていることに気づかされます。

 

UNEP & INTERPOL (ICPO) : The Last Stand of the Gorilla: Environmental Crime and Conflict in the Congo Basin (March 24, 2010)  ← ここからリポート(英語版)をダウンロードできます。

 

UNEP Press Release: Future for Gorillas in Africa Getting Bleaker (March 24, 2010)  ← リポートの要旨が分かります。
 
TIME: Is Chinese Economic Demand Killing Africa's Gorillas? (March 26, 2010)  ← こういう見出しですが、本文を読むと、中国だけが野生ゴリラ絶滅の原因だと言っているわけではありません。

 

Internet Movie Database: Blood Diamond (2006)

 

共同通信: ゴリラ10年後に絶滅か アフリカ、国連警告 (2010年3月25日) <http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010032501000219.html>

 

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カテゴリ: 世界から  > 中東・アフリカ    フォルダ: 国際情勢分析

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